はじめに
家族葬を考えている方の中には、「菩提寺(ぼだいじ)との関係をどうすればよいか」と悩む方も多いのではないでしょうか。菩提寺とは、代々の先祖が供養されているお寺のことで、檀家(だんか)として所属している場合は、葬儀や法要をお寺に依頼するのが一般的です。しかし、近年では家族葬を希望する人が増え、菩提寺との関係に悩むケースも増えています。
本記事では、菩提寺がある場合の家族葬の進め方や、お寺との関係を円滑に保つ方法について詳しく解説します。
家族葬を行う場合、菩提寺に相談すべき?
1. 菩提寺に相談する必要があるケース
檀家になっている場合、葬儀を行う際は基本的に菩提寺に相談するのが一般的です。以下のケースでは、事前に菩提寺へ連絡し、相談することをおすすめします。
- 菩提寺の墓地に納骨を予定している
- 先祖代々の墓がある
- 菩提寺の住職が葬儀を執り行うことが慣例になっている
これらに該当する場合、事前にお寺と相談し、家族葬の意向を伝えることでトラブルを防ぐことができます。
2. 相談しなくてもよいケース
以下のような場合、菩提寺に相談せずに家族葬を行うことも可能です。
- 故人が「宗教的な儀式は不要」と希望していた
- 菩提寺との関係がほとんどない
- 納骨先が菩提寺ではなく、別の場所(樹木葬や納骨堂)である
ただし、檀家を辞める場合や、将来的にお墓を移す予定がある場合は、菩提寺に一度相談しておくと良いでしょう。
菩提寺がある場合の家族葬の進め方
1. 事前に家族で方針を決める
まず、家族葬をどのように行うのか、家族内で方針を決めることが重要です。
- お寺に依頼するか、葬儀社に依頼するか
- 通夜・葬儀を省略し、火葬のみとするか
- 僧侶を呼ぶか、無宗教形式で行うか
2. 菩提寺へ相談する
檀家としてお寺に属している場合は、家族葬を希望していることを伝え、了承を得るのが一般的です。
【相談の際のポイント】
- 家族葬を考えていることを伝える
- 読経や戒名の有無について相談する
- 納骨の手続きを確認する
「小規模な葬儀を考えており、家族だけで静かに送りたい」と丁寧に伝えることで、お寺側の理解を得られる場合があります。
3. 僧侶を呼ぶかどうか決める
菩提寺に相談した結果、僧侶を呼ぶことになった場合は、読経や戒名の有無について確認しておきます。
- 【僧侶を呼ぶ場合】…通常の読経と戒名授与を行う
- 【僧侶を呼ばない場合】…後日、納骨時に読経を依頼する
4. お布施の準備
僧侶に読経を依頼する場合、お布施を用意する必要があります。
【お布施の相場】
内容 | 相場 |
---|---|
通夜・葬儀(読経) | 10万円〜50万円 |
戒名授与 | 10万円〜30万円(戒名のランクによる) |
納骨式の読経 | 3万円〜10万円 |
お布施は、「御布施」と書いた白封筒に包み、当日僧侶にお渡しします。
菩提寺との関係を円滑に保つために
1. 事前に誠意をもって相談する
家族葬を希望する場合、お寺に対して誠意を持って説明することが大切です。「小規模な家族葬を考えている」「葬儀の簡素化を希望している」と伝えることで、理解を得られやすくなります。
2. 先祖供養や法要は継続する
家族葬を行った後も、年忌法要やお盆の供養を継続することで、菩提寺との関係を維持しやすくなります。
3. 将来的に檀家を辞める場合は相談を
「将来的に檀家を辞めたい」と考えている場合は、トラブルを避けるためにお寺に相談することをおすすめします。墓じまいや改葬(お墓の移転)を行う場合は、お寺の協力が必要になることもあります。
まとめ
菩提寺がある場合、家族葬を行うにあたってお寺との関係をどうするかが大きな課題となります。
【菩提寺との関係を考えた家族葬の進め方】
- 事前に家族で家族葬の方針を決める
- 菩提寺に家族葬の意向を伝え、相談する
- 僧侶を呼ぶかどうかを決める
- お布施の準備をしておく
- 葬儀後もお寺との関係を維持する方法を考える
菩提寺との関係を円滑に保ちつつ、家族の希望に合った形で葬儀を行うために、早めの相談と調整を行うことが大切です。