はじめに
新型コロナウイルスの影響により、葬儀の形式が大きく変化しました。密を避けるために、一般葬よりも少人数で執り行う家族葬の需要が高まり、新しいお別れの方法が生まれています。本記事では、コロナ禍で変わった家族葬の形や、新しい弔いの方法について紹介します。
コロナ禍で家族葬の形が変化した背景
コロナウイルス感染拡大に伴い、葬儀の形が変化した主な理由は以下の通りです。
- 感染リスクを避けるため、少人数での葬儀が推奨された
- 県をまたぐ移動の制限により、遠方の親族が参列しにくくなった
- オンラインを活用した新しい葬儀スタイルが誕生した
こうした影響により、家族葬の在り方も大きく変わり、これまでになかった方法で故人を見送るケースが増えています。
コロナ禍で増えた新しい家族葬の形
1. 少人数でのシンプルな家族葬
従来の家族葬よりもさらに規模を縮小し、本当に近しい家族のみで行うケースが増えました。
- 参列者は配偶者・子供・孫などの直系親族のみ(5〜10人程度)
- 通夜を省略し、1日で葬儀・火葬を済ませる「1日葬」を選択
- 香典や供花を辞退し、遺族の負担を減らす
感染対策のため、必要最低限の形で故人を見送る方法が広まりました。
2. オンライン葬儀(リモート葬)
遠方の親族や高齢者が葬儀に参列できないケースが増えたため、オンラインで葬儀を配信する「リモート葬」が注目されました。
- 葬儀の様子をZoomやYouTube Liveなどで配信
- 遠方の親族が自宅からオンラインで弔問
- オンラインで弔電や供花を申し込むサービスも登場
特に、海外在住の親族や、体調が優れず外出が難しい人にとって、オンライン葬儀は重要な選択肢となりました。
3. 後日「お別れ会」を実施
コロナ禍で葬儀に参列できなかった人のために、後日改めて「お別れ会」を開催するケースが増えました。
- 四十九日法要と兼ねて、近しい親族のみで集まる
- レストランやホテルの小規模な会場で会食形式の「偲ぶ会」を実施
- 後日、自宅やお寺で弔問を受ける
コロナ禍で「急いで葬儀をする」必要がなくなり、故人を偲ぶ時間をじっくり確保する傾向が強まりました。
4. 自宅葬・直葬の増加
葬儀会場を利用せず、自宅で葬儀を行う「自宅葬」や、通夜・葬儀を省略し直接火葬を行う「直葬」が増えました。
- 自宅で家族だけでお別れをし、そのまま火葬場へ
- 火葬後、遺族のみで故人を偲ぶ場を設ける
- 葬儀社のサービスを最小限にし、コストを抑える
感染リスクを最小限にし、経済的負担を抑えつつ故人を見送る方法として選ばれるケースが増えました。
コロナ禍で生まれた新しい弔いの方法
1. オンライン献花・弔電サービス
葬儀に参列できない人のために、インターネットで弔意を伝えるサービスが普及しました。
- オンラインで供花を注文し、葬儀場に届ける
- デジタルメッセージカードを送る
- 故人の思い出を共有するオンライン掲示板
2. デジタル遺影・メモリアル動画
コロナ禍以降、葬儀の場でスライドショーや動画を流すケースが増えました。
- 故人の生前の写真をまとめたスライドショー
- 家族のメッセージ動画を作成し、オンラインで共有
3. 遺灰を使った新しい供養方法
従来の墓地埋葬だけでなく、手元供養や散骨といった供養方法が増えています。
- 遺灰をペンダントやミニ骨壺に入れて手元供養
- 海や山へ散骨し、自然葬を選択
- 樹木葬(墓石の代わりに樹木を植える)
今後の家族葬の展望
コロナ禍を経て、家族葬はより柔軟なスタイルへと進化しています。今後は以下のような変化が見込まれます。
- オンラインとリアルを融合した「ハイブリッド葬儀」
- 葬儀場ではなく、自宅やレストランでの「自由な葬儀」
- 費用を抑えつつ、故人らしい葬儀を選ぶ傾向が強まる
まとめ
コロナ禍により、家族葬の形は大きく変化しました。少人数で静かに送るスタイルが主流となり、オンライン葬儀や後日のお別れ会など、新しい弔いの形が生まれています。
今後も柔軟な葬儀スタイルが求められる中で、大切なのは「故人をどう偲びたいか」「家族が納得できる形を選ぶこと」です。これからの家族葬の選択肢として、新しいお別れの方法を考えてみましょう。